okubo_sugaku’s diary

オオクボス〜ガクです。

なんてことない1日を小説みたいにする

敢えて少し読みにくいくらいの小説風にした

小説に出てくるどうでもいいのに説明長い、知らん女のターンの時くらいの気持ちで読めたらいいな

 

 

 

少しずつ覚醒し始めたのは9時ごろだった。

寝ぼけながら、水筒の中にとある粉と浄水器で少し美味しくなった水道水を入れ、飲んだ。この粉はマンゴー味で、人工甘味料によって作られてたトロピカルは海外の毒々しい色味のエナジードリンクみたいな甘味だ。必須アミノ酸とやらが入っていて筋肉を構築する手伝いをしてくれるらしいのだが、正直実感はない。でも、この人工甘味料マンゴー味は、いっそ振り切った甘さで清々しいので気に入っている。

 


昨日は微熱があったが、今朝には下がったようなので8枚切りのトーストをセットし、フライパンにベーコンと卵を一つ割り入れた。朝は8枚切りを、ギリギリまで焦がすのが我流だ。スーパーで8枚切りが売り切れていて6枚切りしかなかったとしても、私は買わない。目玉焼きの目玉、怒って逃げて割れてやがんの。馬鹿だなぁ映えないじゃないか、と思いながら胡椒をかける。

 


大抵午前中は呆けて過ごしている為記憶は曖昧だ。りんごを剥いたが、安物の為薄ぼけていた。そいつをバナナと豆乳、それから思いつきで粉を入れてシェイカーにかけたスムージーを作ったが、豆乳と粉が喧嘩を始めそうな味だった。やっとドレッサーに行き、髪を梳かし、毎日の日課のようにむくみやフェイスラインの入念にチェックする。昨日貼ったロイヒツボ膏を勢いのままに剥がし、ゴミ箱に捨てた。

 


また不愉快な気持ちがもやもやと来、暇で始めたマッチングアプリにも飽きた為にたくさんのメーセージを一目見てすぐに閉じた。女は面倒な生き物だ。タバコを吸う。旨くないぞと思い、いよいよ再度検温器を脇に挟むと37.0℃あった。チキショウ、またかよ平熱低いんだからこれだけで怠いんだよコチトラよ。

 


布団に転がる。今の時期の布団は個人的に絶妙な厚みと肌触りのバランスがあって好きだった。寒ければ綿毛布をかければぬくい。綿毛布はまだ元カレの家の匂いを纏わせていて、お前も早く忘れてしまえばイイのにと思った。ああ、ハヤシライスを作ると約束していたのに、これっぽっちもやる気が起きないし眠い。きっと私はヴァンパイアなんだわ。トマトジュースをマグに注いで枕元に運んだ。立ちくらみは血不足の証拠だものと、浅い視界の中で笑う。

うたた寝をした。まぶたの裏側で、人が手を振り笑って私の眼球を首傾げに覗き込む。そんなに無邪気に笑うのはよしてくれと目を開け、また閉じるを繰り返すうちには、もう夕方になっていた。

 


早上がりした母が帰宅した。他の弟妹が散らかしたのをやる気がなかった私が片付けることの出来なかった無邪気なキッチン周りを見、小さなため息を漏す。ごめんね、と心で謝りつつ半分仮病で布団に潜り込み、小説の途中を探した。ところでブックマークが欲しいんだよ。

付箋とか紙を乱切りにしたようなものじゃなく、ちゃんとしたブックマークがあったはずや、と、私に与えられた押し入れの一角の中から、探し出す。ここにはなんでも揃ってんの、思い出、画材、宝物、ノート、スケッチブック、ちょっとエッチなおもちゃは奥の方よ、あぁ、あったあったと、紙袋を一つ取り出した。それは尊敬している漫画家の原画展に行った時にクレジットカードで買ったポストカードやしおりだ。なかなか汚したくなくて使えないのよ。エドガーが描かれた手鏡は持ち歩いてるけど、そんなちんまい手鏡でメイク直ししたことないし。でもね、エドガー、貴方の肖像画を見るとしゃんとして嘘をついても強く生きていける気がするのよ。お守りみたいなものね。肝心のブックマークは、文庫のサイズと合わなかったのですぐに丁重にしまってから、ほう投げた。コインロッカーベイビーズも最高だけど、そんな本で体を汚す貴方たちではないわ、エドガーとアランに想う。結局、そこら辺にあった名刺サイズの無地のカードをしおりにし、その途端すこし本を置いただけで端が折れた。そらみろ。

目についたスケッチブックを手に取り、めくる。

表紙のすぐ裏には魔女のの宅急便のワンシーンポストカードが貼り付けてある。一枚、一枚と中途半端で気に食わない自分の絵をめくり、少し汚れた空白一枚飛ばして、ウィーンでの私と元彼の鉛筆ラフ画が出てきたので、すぐに畳んでまた放った。

すこしずつ、キッチンの方から生玉ねぎのツンとていてそれでいてヌメるような香りが、風に乗って和室まで届いてきた。私あれ嫌いだ。ヴァンパイアだからかしら。泣いちゃうもんね。

 


そのまま布団で映画を二本見た。

2本目の主人公格のNANAという子のコスプレをしたいと、初めて思った。初めて、名指してコスプレをしたいと思い案外板に付くんじゃあないか、とすこしワクワクした。

 


夕飯を食べるにはだいぶ遅い21:30ごろ、大鍋にすこし残った玉ねぎ多めのハヤシライスとトマトを一個食べ、吐いた。

 


吐いた後、全裸になった。まず、自らの腹部を眺めゆっくりと撫で、最後はすこし肉をつまむ。

ドレッサーで、タケコプターのような格好で、正面右横正面左横をくるくると繰り返す。すこし引いて足を閉じ、太腿の隙間を確認後、ぐいっと身体を前に倒し、再度フェイスラインをチェック。眼球で鏡の眼球を捉えながら、左右に顔を振る。体重を測る。許容範囲だ。風呂に塩を手のひら一掴み入れて混ぜ合わせ、足元がザラついてないと確認してから入浴する。久々に風呂場で一人カラオケ、そんな気分だったのだ。1/2と通学路の後は、チャットモンチーのBestを歌い続けた。

頭を洗ってチャットモンチーを歌いながら、元彼のことを思い出し、清々しくも苛立たしい気持ちになり、鏡の私をキリリと睨んだ。

でも、別れた後の自己顕示欲が強い、恐れない汚らしい自分の方が生き生きしてて好きだわと思った。

こう思えるのだから、きっと幸せな恋愛でもあったんだわ、とも。

 


風呂から上がるとパンツを用意してくることを忘れたなと気づいたが、裸族体質なので、そのまま白地に黄色のお花がちりばまれたサラサラ生地のリラコを履いた。

風呂で出た水の分、トマトジュースを一杯飲み干す

ヴァンパイアにはこれが一番染みるんだぜ。

まだ音楽を流しながら、タバコを二本吸って毎晩の薬を取り出す作業にかかる。

漢方4錠、トリプタノールは青、カリウム剤は2錠

眠剤が足りないぞとすこし焦った。あればあるだけいいのに、また夜中に眠れないのは怖いので、とはいえ控えめにゾルピデムを3錠出した。不安だ。

 


私は昼も夜も寝たいトマトジュースで生きるヴァンパイアになりたい。

寝る直前、最近はロイヒツボ膏を耳下腺と唾液腺に、左右対象に貼り、すこしだけストレッチして横になる。

ロイヒおじさんのおかげで、毎日私はロイヒおじさんの匂いに包まれ安心して眠ることができる気がしてる。

そう思いながら、早く楽しい夢を見せてくれますようにとヴァンパイアでも、毎晩祈る。今度は出てこないでね元カレ。まだまだ、楽しかったことを思い出しては悲しくなってしまうのだから。